平安京 音の宇宙

 サウンドスケープ、音環境という新しい思想を、歴史的な流れに適応し、京都の音環境を通史したもの。
 現代の音環境もさることながら、平安京に編みこまれた音の世界を、文献と調査を駆使して読み解いていく内容は、今まで誰も知りえなかった想像の世界を広げ、著者の文学的な才能もあいまって、新しい地平を切り開いたと言える。
 
 サウンドースケープの提唱者、カナダの作曲家、マリー・シャーファーが取り組んだバンクーバーの調査と比較しても、1000年の歴史のある京都に適応させたときに、浮かび上がる音の厚みの深さに驚く。

平安京 音の宇宙―サウンドスケープへの旅 (平凡社ライブラリー (508))

平安京 音の宇宙―サウンドスケープへの旅 (平凡社ライブラリー (508))