身体という戦場

 相撲、サッカーという、日本の伝統競技と、世界で一番普及している競技について、続けて書いていたら、それらをつなげている選手がいることが記事に掲載されていた。
 日本代表のDF岩政である。カタール戦に途中出場した岩政は、途中出場する際、相撲の立ち合いの格好をして、股を開いて手をついてから、ピッチに飛び出したらしい。現地のメディアでは、スモウ・レスラーがいる、と書かれたらしいが、当人は、日本の伝統競技の身体技法に興味を持っており、実際、和泉流狂言師の9世野村万蔵に弟子入りしたり、白鵬の稽古を見学に行ったり、かなり本格的に研究し、取り入れいてるようだ。
 
 以前より、古武術研究家の甲野善紀氏に、野球の桑田真澄選手が指導を仰いで話題になっていたが、日本の身体技法の合理性や効果が、かなりトップ・アスリートに浸透しつつあるようだ。
 
 皮肉なのことだが、日本人が世界と戦うためには、日本人の身体的特徴を把握し、それを最大限に引き出すことが必須であり、それが日本の伝統芸能や伝統武術の価値を再発見することになっている。
 世界という土俵の中で、まさに身体こそが戦場なのだ、と実感させてくれるエピソードである。

 http://www.sanspo.com/soccer/news/110124/scc1101240504000-n1.htm