フィルム写真の時代は長い目で見たら相当短かったということになるのではないかと想像する。今でも写真発明からたかだか170年程度しか経っていないのだから。
かつての版画と同様、マスメディアの一線を退いた媒体は芸術表現の手段として残っていくということになるのかもしれないが、フィルムや印画紙、現像の薬品や機材など、素材や道具だけでも今以上に手に入りにくく、高額なものになっていくだろう。
本当にこの変化は、多くの写真家が思うより早かったと思う。僕が2005年くらに、デジタル写真が性能としても普及度合いとしても、すぐ抜いてしまうと予見していたとき、知り合いの写真家は誰もそう思ってなかったが、もう現実のものとなってしまった。
これが写真が現れたときの画家のショック、あるいは版画職人のショックと比較できるものかどうかはわからないが、メディアの交代劇を生々しく目撃していることは確かだろう。
すでに時代はポスト写真に向けて動き始めている。