ペンネームとハンドルネーム

先日テレビを見てたら、NHKで『着信御礼!ケータイ大喜利』という番組がやっていた。昔から宣伝は見ていたんだけど番組を見るの初めてだった。簡単に言うと、テレビでお題を出し、そのお題を携帯メールで投稿するという仕組みだ。
そのとき、投稿内容の前に、ペンネーム○○県の○○さん、と読み上げられて、不思議な違和感と懐かしさを覚えた。というのも、このペンネームを番組で読み上げる習慣は、ラジオ番組のそれ、だからである。当然ラジオ番組で読み上げるのは、はがきである。それが携帯電話でありながらその文化がそのままひきつがれていることに軽い違和感を覚えたのであろう。
そうこうしているうちに、最近よくブログを読んでいて目にする『匿名』と『記名』についての議論を思い出した。欧米では本名がほとんどなのに、日本では9割が匿名である、というそれである。その中に日本のネット言論の歪さがある、といような主張もある。僕はこの番組を見ているうちに、この匿名やハンドルネームの文化は、ラジオにおけるペンネームの文化が由来だという気がしてきた。ラジオの投稿者には、端的に『匿名希望』さん、という人もいる。僕は小学生のころ、それを聞いていて『匿名希望』さんというペンネームだとばかり思っていた。
なかには本題ではなく、ペンネームで笑いをとる人もたくさんいたことを覚えている。つまり、ペンネームそれ自体がその人の表現なのではないだろうか。メディアの捉え方は国によって様々だと思うので、一概に良し悪しはいえないと思うが、日本のネット言論文化は、かつてのラジオにおける読者投稿の文化を色濃く滲ませており、本名を名乗るより匿名やハンドルネームの方が自然なのではないかと思ったのである。