2008-01-01から1年間の記事一覧

信仰とコミュニティ

近年起こる様々な犯罪の原因として、地域コミュニティが崩壊したから、と言われることがよくある。それはもう何十年と言われ続けているわけだが、地域コミュニティこそが、大きなリスクヘッジであったことは間違いない。 そもそも、日本は相互監視的な社会で…

工場という農場

新幹線でうとうとしながら途中途中外を見ると、工場が多いな、と感じる。それを見て、ああ、日本の美しい田園風景はいずこで見られるものか、と思うわけだが、特に戦後、日本の風景は工場が覆い、工場こそが新たな職場になっていった。かつての田園風景とは…

21世紀の到来

GMが自立再建ができないことを表明した。GMは100年間、米社会に貢献し、広大な産業ネットワークと雇用を生み続けてきており、投資会社や保険会社の破綻と比較にならない影響を及ぼすだろう。 20世紀の大量生産、大量消費社会の象徴、そしてアメリカ社会…

音楽産業の変化

某プロデューサーが逮捕され、輝かしい経歴からの凋落が報道されているが、個人としての事業の失敗やその対処を誤ったことは事実だろうが、基本的には音楽産業がCDの時代からダウロードの時代へと移行したことの影響をもろに受けたということだろう。 CD販売…

コミュニティの音楽

先日、ケーブルテレビの番組で、アイルランドの民族音楽の特集をしていた。アイルランドには、有名な民族音楽バンドが多数あるがそのなかでも有名なバンドの取材をしてアイルランドの民族音楽の魅力を伝える内容だった。 僕も、幾つかCDを持っているし音楽は…

松下三洋ホールディングス

まさに、社長島耕作的な展開になってきた。 もともと、日本には家電メーカーが11社もあり、近い将来合従連衡を経て3社程度になるのではないかと予想されていた。ここ数年の急速なグローバリズムによって、寡占状態を保たない限り赤字になるというようになっ…

義務教育に必要なもの

昔から学校という制度そのものもさることながら、義務教育のカリキュラム自体に疑問を持っている。 というのも、国家が義務として教育しなければならないものがあるとしたら、国語や歴史というのはあるとしても、憲法と法律だろう、と思うからである。 なぜ…

学校という制度

学校の問題がいわれ続けて久しい。学校裏サイトによるいじめや、学級崩壊、モンスターペアレンツ、セクハラ教師などなど枚挙に暇がない。 こういう問題を見るにつけ、学校の問題は学校をなくせば解決する、と思わざるを得ない。 そもそも、学校とは何のため…

賃貸住宅のネットワーク化

前々から賃貸住宅は進化しても良いのではないかと思っている。 そもそもに戦前の大阪市内では、9割が賃貸住宅の長屋暮らしである。大八車で畳と家財道具を積んで気軽に引越しすることが可能だった。いわゆる裸貸しというものである。今でいうスケルトンの状…

家を持つこと

サブプライムローンで生じた不良債権を買い取る対象が、多くの場合、アメリカの郊外の一軒家だと言う。ただ、どうやら、アメリカでも最近では、郊外の家から都心の集合住宅へ移動していっているらしい。 そもそもに、何十年もローンを組んでまで家が欲しい、…

アール・デコ建築の流行

アール・デコの建築がここ数年、世界的に見直されてきている。おそらくアール・デコ建築が流行してから80年程度の歳月を経たため、当時最先端だった鉄筋コンクリート造の耐久性が問題になってきおり、解体や保存の問題が浮上している、というのが原因のひ…

船大工のネットワーク

現在の車産業が、膨大な下請けを持つ巨大な産業体であるが、そのような膨大な関連企業が、車メーカーの工場を中心に集積している。また、その次に大きな電機メーカーもそのような集積体を作っている。 日本においては、品川、大阪、浜松、広島などが著名だが…

雇用機会の減少

さて、中国などでも大量のリストラが始まっているらしいが、景気の悪化に従って、日本でも派遣社員を中心に労働市場が減ってきている。 しかしながら、21世紀の社会において、工場労働のような大量の雇用機会自体が長期的に少なくなると言えるだろう。 20世…

車のデジタル化

昨日、NHKBSとワールドビジネスサテライトの両方で電気自動車の特集がされていた。 ここ数年の急激な原油高でにわかに現実味を帯びてきた電気自動車だが、 世界のあらゆる地域でベンチャーが参入しているようだ。 自動車といえば、今や、アメリカを押しのけ…

幸福度係数の高い国

これから、社会全体の幸福度が高くなる条件が整っていた国が、近年では中国やインド、そして東南アジア諸国だったのではないかと思う。一様に農村からの出稼ぎで貧乏ではあったが、大規模な工場で雇用されることで、一様に所得が配られ、貧乏から抜け出し近…

コミュニティの幸福度係数

コミュニティにおける幸福度はどのような時に上がるのか。 現在の日本というコミュニティを考えたとき、コミュニティの幸福度があまり高いように思えない。しかしながら、日本よりも経済力が弱いとところでも、幸福度が高いコミュニティはたくさんあるだろう…

仮想のコミュニティ

読売新聞の読者投稿サイトの発言小町をまとめたサイトが人気だったが、読者のクレームにより閉鎖されたことが話題になった。 発言小町は、もともと、新聞の読者投稿欄をネットにした単純なものだが、それが思わぬ評判となったらしい。担当者が、もともと新聞…

情報誌の未来

ついにエルマガが廃刊されるそうだ。 関西発の情報誌がほとんどなくなるわけだが、東京でも雑誌自体が廃刊続きなわけで、地域的な特質というより雑誌というメディアの役割が変わってきたということに他ならないだろう。おそらく、今後はフリーペーパーが多少…

しばらく

本のレビューをしてみたが何回も読んでいて理解しているつもりでもちゃんと内容を言語化していないことがよくわかった。もうちょっと本をまとめ読みしてから実験を続けてみる。

「日本美術」誕生

絵画とは何か?日本画、洋画の言葉と概念は、何時誕生したのか?混乱の中で誕生した日本の近代美術形成の謎を、言葉の中から丁寧に掘り起こしたの概念史。 近世から近代にかけて、写実主義や言文一致体、かな漢字交じり文など、近代文学が抱えた西洋思想の翻…

江戸の旅文化

伊勢参り、温泉、お土産、江戸の旅文化を考察しながら、現代の旅行を照射する。江戸の旅文化 (岩波新書)作者: 神崎宣武出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2004/03/19メディア: 新書購入: 1人 クリック: 6回この商品を含むブログ (9件) を見る

旅行ノススメ

修学旅行、団体旅行、新婚旅行、海外旅行など、旅行はいつごろ始まったのか。お伊勢参りに代表される近世の旅から、近代的な旅行にはどのように変化していったか。 明治後期にJTBが誕生し、大正デモクラシーから昭和にかけて旅行が定着していった。旅行先…

映像論

19世紀から20世紀にかけての視覚装置の発達は、人間の知覚に大きな革命をもたらした。それは17世紀からつながる光学装置の延長線上にあるものだった。 しかし、20世紀末、コンピュータ技術の進化によって、電子の光が知覚を大きく変えていくことになった。地…

パノラマの世紀

19世紀にスコットランドの画家、パーカーが考案した絵画を円形状に包み込み、内側から眺める視覚装置。パノラマをはじめとして、ディオラマ、マレオラマなど、当時急激に視覚装置が発達した。 それは光学機器の発達だけではなく、蒸気による交通革命によって…

お屋敷拝見

お屋敷の語源は武家屋敷だが、ここに出てくるお屋敷とは、明治以降の西洋化された御殿のお屋敷だ。明治以降、宮家や武家、企業家など階級の高いものから、西洋館を建てるようになった。 もちろん、いきなり西洋館にシフトしたわけではなく、応接を洋風、生活…

瀬戸内海の発見

瀬戸内海は「発見」された。瀬戸内海という内海は、明治以前まで一塊の海として認識されていなかった。灘と瀬戸がクラスターになっており、それららは一つの海というものではなかったのである。 それが瀬戸内海になったのは、蒸気船によって1日で航海できる…

現代住宅研究

アトリエワンの塚本由晴と西沢平良が、20世紀後半の建築雑誌に掲載された住宅から、アイテムと名付けた共通した要素を取り出し、考察を加えていったもの。 こちらは住人の視点ではなく、あくまで今までの建築家の住宅におけるケーススタディから、住宅の多…

間取り百年

マドリストなんて言葉もあったが、近現代の住宅史を間取りという観点から考察した書。建築はどうしても大規模のいわゆる大文字の建築や建築家の変遷から語られることが多いが、大衆の建築における接点はほぼ住宅に限られる。 その住宅史の中でも、一番生活に…

NEW DIMENSION

世界を旅する石川直樹の本格的写真集の第二弾。だが、今回の旅は、空間の旅であるとともに、時間を遡行する旅でもある。世界中に残る古代の壁画に至る道程をシークエンスで映し出したものだ。同時に、壁画に刻まれた絵画の原型から、人類のイマジネーション…

NAMI

佐渡島に住む真言宗系の僧侶でもある写真家が、日本海の荒波をデジタルカメラで撮影した写真集。しかし、それが佐渡や日本海という属性を剥ぎ取られ、ただ「NAMI」として存在し、その得たいの知れない「NAMI」の中に引き込まれる不思議な写真になっている。 …