オウムとゴジラ ミニマルの系譜

先日、NHKでやっていた久石譲のドキュメンタリーを見た。久石譲の最近のアジアをテーマにした活動と、コンサートでのミニマル・ミュージックへの原点回帰が主だった。一部にはよく知られているが、久石譲はもともとミニマル・ミュージックに傾倒した作品から出発した。
ミニマル・ミュージックとは、60年代に、スティーヴ・ライヒ、テリー・ライリー、フィリップ・グラス、ラ・モンテ・ヤング(ミニマル・ミュージック四天王と呼ぶ?)らによって始められた短いパッセージを執拗に反復して構成する音楽のことだ。現代音楽からのアジア音楽のエッセンスの取り込みとも言え、ポップ・ミュージックでは、同時期にビートルズが、インド音楽へ傾倒し、楽曲に反映させていたことはよく知られている。
久石譲は、官能的なメロディを駆使することで知られているので、そのようなイメージはあまりないが、初期の宮崎アニメにはふんだんにミニマル・ミュージックの要素が取り入れられている。特に、ナウシカのオープニング直後に迫り来るオウムの音楽などはその典型だろう。高低する電子音の使い方はライリーを彷彿とさせる。ラピュタでのシータ奪還のシーンなどもわかりやすい。どちらにせよ、「何かが迫り来る」という雰囲気を出すのに向いているのだろう。
そこで忘れてならないのは、ゴジラだ。「ダ・ダ・ダン。ダ・ダ・ダン。ダ・ダ・ダ・ダ・ダ・ダ・ダ・ダン。」で有名な伊福部昭の名曲だ。昨年、亡くなられたので追悼コンサートも幾つかあっだだろう。
ライリーが表敬訪問したという逸話も残っているそうだ。

オウムとゴジラという日本映画の二大モンスターが、ミニマル・ミュージックという線で結ばれているのは興味深いところだ。

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