マリー・アート・ワネット

ソフィア・コッポラの話題作「マリー・アント・ワネット」を見た。悪名高い王妃を、等身大の悩めるティーエイジャーの青春映画として見せる方法はとても面白かった。特に、アート志向の強いソフィアが、ナイーブで退廃的なまるでアート系の学生たちのパーティのように描くマリーの日常は、ソフィアのライフスタイルを垣間見せられるようだった。
また、マリー・アント・ワネットと観客に心理的乖離がおきないように、作品には一貫して「もし、あなたがこういう状況だったらどうする?」的な空気が流れている。
はじめの方は、ニューロマンティックの世界観に影響を受けた、という挿入歌に沿って、テンポよく進んで小気味良いのだけれど、最後になるにつれて中だるみしてくるのが残念だった。長い映画だったし、もうちょっとカットしても良かったような気がする。それと、最初の方の音楽と、最後の方の音楽をまったく異なるものにするなど、王妃の顔になっていくマリーを転回的に描いていっても良かったんじゃないかと思う。