愛知万博見聞

 日曜日には愛知万博に行った。4月から行こう、行こうと考えていたんだけど、土日は混んでいると言うので、平日に休みをとって行こうと延ばしていたら、もう残り一ヶ月程度になってしまい、結局余計に混んでいる時期に行くはめになった。やはり何でも早く決断した方がいいものだと改めて思った。
 愛知万博になかなか足が向かなかったのは、第一に大阪から中途半端に遠いという地理感による。近くもなく遠くもないんだけど、大阪人にとって名古屋はそうそう行くところじゃない。例え、経済的に負けてしまっていても、仕事で東に行くときは東京だし、観光という面では、関西の方が圧倒的に魅力的だと思っているし。そんなことで、どの程度でつくかあまり予想がついてないのである。予想がつかないものに対しては人間億劫になるものだ。
 次に、愛知万博に行った先人たちの評価があまり良くないのと、詳細なレポートではない、ということもある。大阪人にとったら、万博=大阪万博(花博ということもあるかもしれないが)、なので、初めから色眼鏡で見ているところはあるにせよ、企業館にせよ、外国館にせよ、あまりいい噂は聞かなかった。万博というよりは物産展だ、とか、あげくの果てには、コンパニオンが可愛くないとか愛想が悪いとか、大阪万博のコンパニオンは可愛かったとか、郷愁とごっちゃになった評価も出てきたり、なんとも判断がつかないのだ。効率的にどこを見ればいい、という建設的なアドバイスなど、誰からも得られなかった。
 結局、僕もどうしていいかわからないけど、企業館の待ち時間は尋常じゃないみたいなので、或る程度前評判のよかったヨーロッパのパビリオンを中心に廻ることにした。それはそれなりに悪くはなかったけど、大阪万博の時のように、パビリオンがすべて著名建築家が参加したユニークな建物で出来ているというようなことはなく、どれも立方体の箱で出来ていた。
 内部はほとんどのパビリオンが、プロジェクターやディスプレイを多用した映像展示がメインだった。しかし、実は大阪万博でも、内部は当時流行したマルチスクリーンなどの映像展示が盛んに行われていたが、外側が注目されたためあまり記憶に残っていないだけなのだが、愛知万博は外側に魅力がないだけに、内部の映像展示の共通性がより目立ってしまったようだ。
 ヨーロッパのパビリオンでは、割と映像展示も工夫されていて、見ごたえ或るものも多かったが、アジア諸国は概ね、凡庸なものだったと言えるだろう。 
 さらに、建物の内部には、各国のお土産屋が入居しており、それが、物産展の色を強く出していたということである。かつては、世界のお土産すら珍しいものだったが、今は誰もが世界の僻地にいく時代で、珍しいものなどほとんどない。
 見れば見るほど、大阪万博の先進性や規模の大きさを回顧してしまうのだった。それは関西人の負け惜しみだけではあるまいと自分に言い聞かせるのだった。