ヴァニシング・メディエイターとしてのアールデコ

 最近、戦前に流行したアールデコ建築に興味がある。
アールデコ建築は簡単に言えば、モダニズム建築の前に世界的に流行した鉄筋コンクリート造と、テラコッタの装飾、スクラッチタイル等で構成された、幾何学的で装飾的な要素の入った近代建築のことだ。20年代〜30年代に全世界、というよりは、アメリカやオーストラリア、中国、日本、東南アジア等の新興国で特に流行した。
 日本では、関東大震災の影響によって、耐震性の悪い煉瓦造や木造から急速に移行していった。また、来日したフランク・ロイド・ライトに大きな影響を受けた。
 
 その時代から80年程度の月日が出来て、アールデコ建築も数少なくなっている。だが、アールデコ建築は当時の庶民の富裕層によって、多く建てられたことと、フォルムが丸みがあり、装飾的であるため僕たちにとっても親近感が持てるのだ。

最近、DOCOMOMOなどの影響で、モダニズム建築が再評価されているけど、アールデコ建築も忘れてはならないと思う。
 
 アールデコ建築は、様式主義建築からモダニズム建築への移行期に花開いたまさに、ヴァニシング・メディエイター(消えゆく媒介者)だと言えるのではないかだろうかと思っている。