国という類

 日中の相互不理解が、統計からも出ているようだ。ただ、お互いの国のことをほとんどがメディアを通じてしか知らず、実際に行ったことのない人が相互に8割以上に上るとのことなので、さもありなん、といったところか。
 僕は高校時代に中国を旅行したことがあるので、当時から親しみを持っているが、ちょうどその頃は中国に変革の胎動が芽生えはじめてきた頃で、僕が日本に帰ってきてからすぐに天安門事件が勃発した。自分が宿泊していたホテルにも銃弾が打ち込まれたりしていたので、歴史の変革をリアリティをもって感じたのを覚えている。
 ただ、現在の中国の大衆の感性は、まさに天安門事件以後に育まれたものだろうから、どこまで反日教育が浸透しているのかわからないけど、それ以前とはずいぶん違っているのだろうと思う。ただ、行く先々であったガイドの人たちは、とても優しく紳士的だった。だから、別れるとき、とても悲しかった。
 日中国交は、戦争を犯したのは一部の政治家や軍部で、それに巻き込まれた大衆は互いに無罪であり被害者である、というのが前提だったと思う。にも関わらず、再び互いが国やマスメディアが植え付けるイメージによって相互不信になるのは、過ちの繰り返しとしか言いようがないように思う。
 そのような類で人をくくろうとする考え方は、そろそろやめにしたいものだ。