賃貸住宅のネットワーク化

前々から賃貸住宅は進化しても良いのではないかと思っている。
そもそもに戦前の大阪市内では、9割が賃貸住宅の長屋暮らしである。大八車で畳と家財道具を積んで気軽に引越しすることが可能だった。いわゆる裸貸しというものである。今でいうスケルトンの状態で貸していた、ということになる。
ただ、畳は建具と言って家具のような扱いだったので個人持ちなのだ。
夏目漱石が何度も引越ししたのは有名な話で、都市において住宅を所有するという概念は戦前にはほとんどなかった。
住まいはもとも借りるものだったのである。

それが戦後に、国が公共住宅への投資をあまりせず、製鉄所につぎ込んで生産力の回復を優先し、それによって出た個人の給料で、家を買うような政策を行っため、マイホームの概念が生まれたのだ。
それ以降、何十年もローンを組んで家を買うというのが、なぜか当たり前になった。しかし、そのスタイルは、後でふりかえってみれば、高度経済成長期にサラリーマンをはじめ定年を迎えている団塊世代特有の現象と言われるのではないか?

その間、賃貸住宅はどこまで進化しただろうか?例えば、賃貸業者が大規模なネットワークを組んで、住めば住むほど住人の素行がよければ、ポイントが加算されていき、賃貸料の割引など様々な特典が与えられるとか、賃貸マンション内のSNSなどのサービスが提供され、ゴミ捨ての日程や様々な情報を提供してくれるとか、今後、新たなライフスタイルに向けて、賃貸住宅が進化していくことを期待している。

賃貸宇宙―UNIVERSE for RENT

賃貸宇宙―UNIVERSE for RENT