音楽産業の変化

某プロデューサーが逮捕され、輝かしい経歴からの凋落が報道されているが、個人としての事業の失敗やその対処を誤ったことは事実だろうが、基本的には音楽産業がCDの時代からダウロードの時代へと移行したことの影響をもろに受けたということだろう。
CD販売の売り上げは90年代後半をピークに、2000年代前半からiPodや携帯電話などのダウンロード販売へ急速に移行していく。それとともに、レコード産業は急速に市場が減って、音楽産業には根本的な変化が訪れていた。某プロデューサーも、流行が過ぎたとか、才能が枯れたとかというような意見もあるだろうが、基本的にCDが売れなくなって、大量の広告費を使ったリリースができなくなったのが根本的な理由だろう。連日連夜音楽を耳にすると、多くの人は好きになってしまうものだ。
さらに、その間、インディーズがブームになり、CD流通が変わり、テレビを中心とした露出にるヒット創出が時代遅れになっていたことも関係あるだろう。スカパンク、ヒップホップ、レゲエなどのブームは、メジャーになる以前からライブで支えられていた音楽だった。音楽が電波から現場中心に移行していたことの表れだろう。

マドンナもプリンスも、すでにレコード販売からライブへと収入源の柱を移行させている。そもそも、レコード産業ははかのエジソンが100年年前に発明して、20世紀に誕生した産業だ。それまでは、音楽家はライブをするか楽譜を売るかでたいしてもうからない職業だった。21世紀になって、音楽家は再び19世紀のようにライブ中心の世界に戻ろうとしている。そもそも、音楽とはライブが原点であり、レコーディング技術の発達による現在の音楽の方が長い音楽の歴史の中で特殊なものだ。ビートルズのマルチトラック録音から始まり、音程がはずれてもすぐ修正できるような今の技術は、バブルに似たところがあるかもしれない。

それを考えると、90年代後半の音楽産業は急速に音楽の質が低くなり、大量消費された転換期として記憶されるだろう。
某プロデューサーは時代にはまりすぎて、大局観がなかったところに大きな問題があったかもしれない。できれば、次の時代の音楽の有り様をプロデュースしてほしかった。

マドンナ コンフェッションズ・ツアー・ライヴ

マドンナ コンフェッションズ・ツアー・ライヴ