信仰とコミュニティ

 近年起こる様々な犯罪の原因として、地域コミュニティが崩壊したから、と言われることがよくある。それはもう何十年と言われ続けているわけだが、地域コミュニティこそが、大きなリスクヘッジであったことは間違いない。
 そもそも、日本は相互監視的な社会で、コミュニティの明示的なあるいは暗黙のルールから外れたものを排除するというシステムで安定を図ってきた。その免疫的なシステムがなくなると、ルールから外れたものに対する自己防御装置が働かなくなる。
 そこに強い信仰があれば、心の内部に規範ができるので、ルールから外れなくすることができる。しかし、日本にはすべての地域を網羅するような強い信仰体系が存在せず、地域コミュニティを覆うような緩やかなもだった。
 だから、それも強い規範として成り立たない。
今後、ますます地域コミュニティが解体していったとき、日本がどのような形でモラルを生み出すことができるかが大きな課題なのではないかと思う。