21世紀の日本社会

 日本はまだまだいける、という意見、もう駄目だという意見、最近よくウェブでみかけるが、戦後のように、円安で人件費や安くて、品質の高い商品を販売できる、という圧倒的に貿易に有利な条件で戦えるという状況はもう来ないのは確かだ。
 特に、日本はアメリカの傘下にいたため、冷戦下において、資本主義先進国への貿易が有利だったということもあっただろう。


 ここ20年で日本の有利な条件はほとんどなくなった。円高で人件費が高くて、さらに、自国の大きな市場も縮小しつつある。新興国に対して、ジャパン・ブランドというのはある程度通用するだろうが、それは、かつての日本におけるアメリカ・ブランドと似たようなもので、新興国が安くて品質の良いものを提供しはじめたら、かつてのアメリカと同じ轍をふむことになるだろう。


 だから、日本製品を作り続けた中で築いた圧倒的な技術力のある分野しか勝ち目はなく、実際、世界での競争はそうなっているだろう。例えば、日本の家電最強神話も、サムソンに完全に負かされているし、それは当然、ウォンが安くて品質がいいんだから当然の結果だと言っていいだろう。サムソンの場合、欧米に留学するエリート達が戦略を立てているから、欧米へのマーケティングにも長けている。ソニーの良い部分を真似て、越したところもあるだろう。


 ただし、中身は、日本のメーカーの部材でかなり作られているので、日本に対しては赤字だ。その辺が、日本の優秀な中小企業に一日の長があると言ったところだろう。

 しかし、中国やインドでもどんどん、家電や車などのメーカーも出てくる。そうなったとき、いつまで技術的な優位性を保てるか。その辺が、経営者が見極めているところだろう。
 
 メーカーは、日本で作ると条件が不利なので、現地生産、現地雇用に切り替えている。

 日本に残るのは、一部のグローバル企業の経営層と、唯一無二の技術を持つ中小企業の二つに分かれていくことになるだろう。


 しかし、それではあまりに雇用数が少なすぎる。そのとき、国内市場で新たに産業を生むことができるか、その辺が21世紀の日本の状況がどうなるかを左右することになるだろう。