親と子と故郷

 ここ数年、東京に行く友達が増えている。毎年のように、来年東京に行くことになったと言われているような気がする。
 もちろん、地元の仕事が減少し、よりお金周りの良い東京にいくというのが基本的な理由だ。昨年からの不況以降よりその傾向は強まるかもしれない。

 しかし、彼らの親だって、仕事を求めて、移り住んできたものばかりだ。つまり、彼らの故郷は、親の故郷ではない。そして、彼らの子もまた、親の故郷ではない土地で育つことになる。

 子は、親の故郷と祖父母の故郷が異なる故郷を持つことになる。

 それは1次故郷、2次故郷、3次故郷というようなものになるんだろうか?

 インターネットの普及でどこでも仕事ができるようになったと思いきや、一極集中を加速化させているよな気がしてならない。

 東京に移り住んだ友達同士の、コミュニティを見ていると、半ば県民会のようだが、そこまでの規模ではなく、もっと小さなマクロコミュニティがそこかしこにあるというのが実態なのだろう。

 少なくとも、もっともっと分権し、行政権益を移譲していく方が人材の流出や地方の活性化という面でもいいだろう。国家の成立が遅れたイタリアやドイツの地方都市が、個性と郷土愛に彩られているように、地方色を薄めていく政策から地方色を濃くしていく方に大きくシフトしてほしいと思う。