散歩番組の隆盛

 以前スペシャルかなにかでやっていた、タモリの散歩番組がシリーズになった。1回目は見てなかったけど、今回は少し見れてなかなか面白かった。まさに、江戸の起源に深くかかっている、上野がテーマだった。

 まあ、タモリは坂道だとか古地図だとか、そういう江戸の成り立ちや歴史に深い造詣を持っていて、散歩をしながら、歴史の足跡をたどるようなことができるので、見ていてもとても勉強になる。
 文脈的に言えば、今和次郎考現学、その流れを戦後に引き継いだ、赤瀬川源平トマソン藤森照信の建築探偵団、荒俣宏の風水などが合体した路上観察学の系譜に入るものだろう。
 最近では、中沢新一が東京の縄文を探索する、アースダイバーなども注目されていたが、同じ大きなテーマの別の角度からの切り口という気がする。

 タモリはわりとその系譜の継承者の一人だと思うので、それになりに教養ある内容になっているが、他局でもやたらと散歩番組が目立つ。旅番組ではない、散歩番組である。
 昔から、あまり予算がなくても作れる、芸能人が旅行をして温泉やら地域の名産や料理を堪能する、という旅番組は一つのジャンルとしてあったが、散歩番組というのは、ここ数年一つの潮流になってきているように思う。
 要するに、まったくお金をかけなくていいからである。


 もともと予算の少ない関西ローカル番組は、散歩番組は一つのジャンルとして確固たる地位を占めいていた。それは、もともと関西ローカルには予算が少ないということと、素人が面白いので、芸人が適当に歩いていても、素人の面白さを引き出すことが十分に番組が持つからである。
 
 しかし、今や東京でも遅れて?散歩番組が流行している。それは関西系をはじめとして芸人が大量に生産されていることも影響していているだろうし、予算がなくなってきたということもあるだろう。
 番組の作り方が、極めて場当たり的になっているという気がする。
 関西ほど、町の人が面白いわけでもないから、内容も微妙だ。

 散歩番組が、一つのジャンルとしてこれからも続くのか、あるいは、違う形になっていくのかわからないが、消極的な作り方では駄目だろう。

考現学入門 (ちくま文庫)

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超芸術トマソン (ちくま文庫)

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建築探偵 東奔西走 (朝日文庫)

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荒俣宏コレクション 風水先生 地相占術の驚異 (集英社文庫)

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路上観察学入門 (ちくま文庫)

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アースダイバー

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