散歩番組の進化

 先日、散歩番組が増えていることを書いた。
その中でも、ブラタモリ以外に、気になる番組と言えば、テレビ東京の「空から日本をみてみよう」だ。
http://www.tv-tokyo.co.jp/sorakara/

基本的に、空撮しながら、その街を解説し、気になる建物や場所を発見したら、地上から解説する、という構成になっている。これを散歩番組と言えるかどうかは議論のわかれるところだが、街を巡るということで言えば、散歩番組のカテゴリに入れてもいいのではないかと思う。

特に、ブラタモリは、歴史的文脈の深さという点では傑出しているが、空撮のような視覚的な新しさがあるわけではない。

しかし、番組を見ていて、ある種のデジャビュを感じるのは、空撮と同時に、建物や場所のテロップが、カメラの移動にあわせて、移動したりするところなど、Google MapやEarthの感覚にそっくりなのである。
また、空中と地上をスイッチする感覚は、ストリートビューに酷似している。
制作者自身もかなり意識しているだろう。

当然ながら、番組を作るディレクターやリサーチャーは、毎回、空撮のコースや取材する建物などを、リサーチすると思うが、空撮の事前取材など、予算的にできるわけがない。
だから、かなりの確率で、Google MapやEarth、ストリートビューを多用しているはずである。

つまり、このような番組が出来るのは、ネットサービスの驚異的な進化の恩恵そのものなのである。

特に、面白いのは、ビルの屋上の上に家が建てられている「屋上物件」や三角形の敷地に建てられている「トンガリ物件」など、空撮の視点からわかる、面白い建物を発見し、それを地上から取材するところである。

実際、「屋上物件」や「トンガリ物件」に住んでいる人に取材し、どのような使われた方をしているか、レポートするのもとても面白い。
トンガリ物件は、その頂点の部分がどの程度角度があるか計測していく。

「屋上物件」や「トンガリ物件」の感覚は、アトリエワンの「メイド・イン・トーキョー」や「ペット・アーキテクチャー」的だが、それも当然知った上のことだろう。ディレクターが建築系なのかどうかはわからないが。

ただ、面白いところは、「屋上物件」や「トンガリ物件」というのは、空撮の視点がないと発見しにくいというところと、実際の住人を取材するところだろう。
それは、テレビというメディアでこそ成立するものだと思う。

このように、過去の街歩きやサーベイの文脈と、ネットサービスによる視覚感覚をうまく取り入れた番組として、今もっとも熱い番組の一つであることは間違いない。

メイド・イン・トーキョー

メイド・イン・トーキョー