カフェからゲストハウスへ

 近年、カフェブームが一段落して、ゲストハウスへとその流行が移っているようだ。
カフェとは、プライベート空間の拡張したものだと以前から思っていた。
 理想の部屋、理想の家具に満たされて生活したくても、住宅事情から言って実現できない人がほとんどだ。
それを自分の好きなカフェにそれを見出しているということだったと思う。
 つまり、カフェとは、自分の部屋の拡張空間であり、同時に応接間の拡張空間だったのだ。

 ゲストハウスは、それをさらにお進めして、自分のお気に入りの部屋に泊める、あるいは泊まる、という欲望の転写のような気がしている。
 
 同時に、我々は新たな住まい、新たな関係性、新たなコミュニティを模索している。
すでに、日本固有の共同体は、解体するところまで解体されてきた。村落共同体、会社共同体、そして家族という最小限の家族でさえ解体されてきている。
 そのとき、我々は新たな共同体を模索している。かつてのように、関係が密すぎてもしんどいし、疎すぎても寂しい。
 その中間的な距離の中で、家族ではないコアな共同体を作ろうと、日本人の模索がはじまっていて、ゲストハウスの流行はその大きな流れの一端だと思う。