建築の黙示録

廃墟をテーマにした写真の金字塔といえば、この作品においていない。
大版カメラによる廃墟の美しさは見るものを圧倒する。
ロマン主義な滅びの美学と比較するとやや即物的ではあるが、
解体現場を美的に昇華した作品であることは間違いない。

建築の黙示録

建築の黙示録

新・建築の黙示録

新・建築の黙示録

解説に磯崎新が文章を寄せていたと思うが、磯崎新のテーゼである「未来都市は廃墟である」を
体現したような風景であろう。

建築における「日本的なもの」

建築における「日本的なもの」

宮本隆司磯崎新のコラボレーションは思わぬ形で実現する。
1995年、阪神大震災で壊滅的な被害を受けた都市を克明にドキュメントした宮本隆司の作品と、自宅が全壊指定を受けた建築家の宮本佳明を、磯崎新がキュレーションを行いベネチア・ビエンナーレの建築展で、震災を再現するような展示を行い大きな話題となった。

その後、廃墟ブームが訪れ、多くの廃墟写真が撮影されているが、80〜90年代の写真作品と2000年代の写真作品との違いは、被写体オリエンテッドかそうでないかが大きい。

写真家の持っていたセンチメントやロマンチシズム、物語などが失われ、どんどん即物的、断片的になっていってるような気もする。
それは、若者の感性が物語志向からデータベース志向にうつっていっている、ということなのか。

動物化するポストモダン オタクから見た日本社会 (講談社現代新書)

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