ROADSIDE JAPAN―珍日本紀行

 メイド・イン・トーキョーが東京のおかしな建造物の組み合わせをサーベイしたものならば、ROADSIDE JAPANは地方に散見されるおかしなオブジェを記録したものだ。
 ただ、「おかしな」と言いながらどのオブジェにも既視感があるのが不思議だ。それほどに、どこの地方にも変なオブジェがあるということだろう。
 美しい日本の風景とは真逆の、本来ならば、目を伏せたいオブジェの数々がこれでもかと並ぶ。しかし、これがまぎれもなく今の日本の日常であり、現実なのだと認識させられる写真集である。
 ただ、それは「笑い」をともなうものであり、自虐的なものではないのも、90年代の特徴だとも言える。ここに告発的な要素は一つもない。
 この景観を、肯定するでもなく否定するでもなくまずは「笑い」を持って受け止めよう、そんな姿勢が90年代の空気なのだ。

ROADSIDE JAPAN―珍日本紀行 東日本編 (ちくま文庫)

ROADSIDE JAPAN―珍日本紀行 東日本編 (ちくま文庫)

ROADSIDE JAPAN―珍日本紀行 西日本編 (ちくま文庫)

ROADSIDE JAPAN―珍日本紀行 西日本編 (ちくま文庫)


都築響一の取材旅行に数多く同行し、珍日本風景にインスパイアされた大竹伸朗の作品もあわせて参照されたい。

大竹伸朗日本景 (Asahi art collection)

大竹伸朗日本景 (Asahi art collection)