お屋敷拝見

 お屋敷の語源は武家屋敷だが、ここに出てくるお屋敷とは、明治以降の西洋化された御殿のお屋敷だ。明治以降、宮家や武家、企業家など階級の高いものから、西洋館を建てるようになった。
もちろん、いきなり西洋館にシフトしたわけではなく、応接を洋風、生活を和風と併設したり、その位置づけが逆になったり、洋館の中に和室を作ったり、お屋敷という生活の場の中に洋化の段階的な流れが散見されて面白い。
 現在の住まいは、戦後のLDKの思想がアメリカから輸入されたため明治以降の洋化の流れとは少し断絶しているが、どこの家も多かれ少なかれ和洋折衷していることだろう。
 興味深いのは、応接間の位置づけだ。西洋美術は西洋化された応接間に飾られるもので、日本美術は和室の床の間に飾られるものだ。
 西洋化の流れの中で、美術の存在も揺れ動いている様子がわかって面白い。

お屋敷拝見 (らんぷの本)

お屋敷拝見 (らんぷの本)