建築

工場という農場

新幹線でうとうとしながら途中途中外を見ると、工場が多いな、と感じる。それを見て、ああ、日本の美しい田園風景はいずこで見られるものか、と思うわけだが、特に戦後、日本の風景は工場が覆い、工場こそが新たな職場になっていった。かつての田園風景とは…

アール・デコ建築の流行

アール・デコの建築がここ数年、世界的に見直されてきている。おそらくアール・デコ建築が流行してから80年程度の歳月を経たため、当時最先端だった鉄筋コンクリート造の耐久性が問題になってきおり、解体や保存の問題が浮上している、というのが原因のひ…

お屋敷拝見

お屋敷の語源は武家屋敷だが、ここに出てくるお屋敷とは、明治以降の西洋化された御殿のお屋敷だ。明治以降、宮家や武家、企業家など階級の高いものから、西洋館を建てるようになった。 もちろん、いきなり西洋館にシフトしたわけではなく、応接を洋風、生活…

現代住宅研究

アトリエワンの塚本由晴と西沢平良が、20世紀後半の建築雑誌に掲載された住宅から、アイテムと名付けた共通した要素を取り出し、考察を加えていったもの。 こちらは住人の視点ではなく、あくまで今までの建築家の住宅におけるケーススタディから、住宅の多…

間取り百年

マドリストなんて言葉もあったが、近現代の住宅史を間取りという観点から考察した書。建築はどうしても大規模のいわゆる大文字の建築や建築家の変遷から語られることが多いが、大衆の建築における接点はほぼ住宅に限られる。 その住宅史の中でも、一番生活に…

UNBUILT

建築家、磯崎新の実際に建たなかったプロポーザルを、1960年代、70年代、80年代、90年代別にまとめて紹介したもので同名の展覧会にあわせて作られた。 年代別に、建築外の批評家等の対話や磯崎アトリエで働いていた建築家の回顧録的な評論を通して、磯崎新の…

あったかもしれない日本

アメリカの未完の都市・建築を紹介した アリソン・スカイ、ミッシェル・ストーン『UNBUILT AMERICA』(日本版は『幻のアメリカ建築)』を下敷きに、近・現代の日本の未完のプロジェクトを詳細に紹介したありえたかもしれない現在を照射するための反建築史。 …

新宗教と巨大建築

今や若手から次世代を牽引する建築評論家となった五十嵐太郎の博士論文からまとめた著作。新宗教の建築を、近代建築史の視点から読み返した労作。 天理教や大本教を中心とした近代に勃興した神道系新宗教は、「世の立て替え立て直し」など多くが建築をメタフ…

メイド・イン・トーキョー

ユニット派と呼ばれる共同作業で建築をする世代の代表格、アトリエ・ワンが中心となった90年代の都市サーベイものの名作。 無秩序都市東京に、散見されるおかしな建造物の「組み合わせ」をコミカルに紹介。 もちろん意図して作られているわけではなく、主語…

アール・デコの建築

NHK「美の壺」シリーズのムック。日本でも1920年代に流行したアール・デコの建築の魅力をコンパクトに紹介。 実はグローバルなレベルで、アール・デコは世界に普及した。 昨今のグローバリズムを先取りする20年代の国際的ブームと各地域の独自の要素が結びつ…