雇用機会の減少

さて、中国などでも大量のリストラが始まっているらしいが、景気の悪化に従って、日本でも派遣社員を中心に労働市場が減ってきている。
しかしながら、21世紀の社会において、工場労働のような大量の雇用機会自体が長期的に少なくなると言えるだろう。
20世紀の代表的産業が車だとして、21世紀の代表的産業がグーグルを中心としたインターネット関連産業だとしたら、端的に言っても、グーグルがわずか数万人で数十万人を雇用するトヨタと同規模の時価総額を持つことから考えても、21世紀の知的産業にとって、大量の人材が必要ないということを表していると言えるだろう。
そう考えると、早晩、低賃金の大量の人材を確保していることが、競争力ということにもならなくなる。高度に知的な人材をどれだけ確保しているかが課題なのだ。しかし、そのような人材は一朝一夕に生まれるわけではない。世界中から優秀な人材を安定的に吸収し続けることのできるシリコンバレーのような特殊な場か、国家的に教育を重視している国しか難しいだろう。

人口の急速な増加とそれと反比例するかのように、雇用機会の減少が訪れると、大量の失業者があふれることになる。今後の課題は、経済力ではなく、どれだけ雇用機会を生み出せる社会かにかかっているのではないかと思う。