アートの価値
今日のアート市場において、一番価値のあるものと言えば、モネ、ゴッホ、セザンヌのように、19世紀末から20世紀はじめに生まれたものだろう。
しかし、それは19世紀に写真が発明されたために、肖像画のような需要がなくなり、写真のような写実的価値ではない価値を生み出す必要にかられたからである。
つまり、実用の産業の地位から落ちたことによって、アートとしての新しい価値を見出すことに移行したのだ。
肖像画は、今日に至るまで、町の写真館が担ってきている。それは、証明写真からプリクラのような実用からエンタテインメントにまで拡張している。
しかし、フィルム写真もまた、まずモノクロ、次にカラー写真までアートに含まれるようになった。それも報道的地位が映像やデジタルに代わったからである。
なぜ、メディアは、主流ではなくなった瞬間に、アートのメディアになるのだろうか。
印刷も最近、活版印刷などが見直されているが、それも電子写植からDTPに移行し、過去の技術になったからである。
そのように、メディアとして主流ではなくなったものに、アートのような個人の表現を見出すということを繰り返されるだろう。アートはそのように遅延したメディアとして新たな価値を生み出していくのだろうか。