美術

アートの定義

今までの考察の中で、アートの定義を ・アートは過去のメディアと未来のメディアにおいて表現されるもの ・個人の表現であるが、個人を超えた(精神性の)広がりを持つもの ・長期的な市場価値を持つもの としてきた。 次に、大衆芸術について考察していきた…

アートは個人の表現か

さて、ここではたして本当にアートは個人の表現か、という疑問にぶちあたる。また、高額で取引される作品がアートとして価値が高いかということも疑問である。 まず、少なくとも、個人の内面を表現する、というような考え方で作られた作品は近代以降のもので…

メディア・アート

主流のメディアから時代遅れになったものが、アートのメディアになる、という流れとは逆に、最先端の技術をアートに応用するというものもある。 最近では、コンピュータを用いた、メディア・アートやインタラクティブ・アートなどは、最先端の技術をアートに…

アートの価値

今日のアート市場において、一番価値のあるものと言えば、モネ、ゴッホ、セザンヌのように、19世紀末から20世紀はじめに生まれたものだろう。 しかし、それは19世紀に写真が発明されたために、肖像画のような需要がなくなり、写真のような写実的価値ではない…

美大卒

Y君の美大卒の学歴の役立たなさについては僕らの間で何度もやりとりされた内容だが感慨深いものがある。また、その役立たなさも、短期的なことであって、長期的には役立っているということだ。 そのとおりだと思う。最近、めっきり現代美術を目指す人間がい…

「日本美術」誕生

絵画とは何か?日本画、洋画の言葉と概念は、何時誕生したのか?混乱の中で誕生した日本の近代美術形成の謎を、言葉の中から丁寧に掘り起こしたの概念史。 近世から近代にかけて、写実主義や言文一致体、かな漢字交じり文など、近代文学が抱えた西洋思想の翻…

バリ島芸術をつくった男―ヴァルター・シュピースの魔術的人生

南国の観光名所として知られるバリ島。芸能の島としても有名であり、その中でもケチャック・ダンス(ケチャ)はその代表的な舞台芸術である。しかし、ケチャを今日のスタイルに昇華させたのは、一人のオランダ人芸術家だった。 また、それは映画や万博によっ…

ジオラマ論

19世紀の機械、ジオラマ、パノラマ、写真などの視覚機器、鉄道などの高速輸送機関、郵便などのメディアなどが、いかに人間の知覚や美学を変えて行ったか。そして、機械の美学が現在にまでいかに影響を及ぼしているか。 博物館に集約される19世紀の視覚芸…

日本・現代・美術

90年代の美術批評を牽引してきた椹木野衣が、日本の現代美術の存在を根底から問うた記念碑的作品。 そもそも戦後、『現代美術』というジャンルが明確に輸入されないまま、前衛精神だけが歪に入ってきたため、マーケットやジャンルの確立していないところにま…

ヤノベケンジ 1969‐2005

1965年生まれのヤノベの幼少期から2005年までの集大成的作品集。 表紙の写真は、タンキング・マシーン。ジョン・C・リリーのアイソレーションタンクに影響受けた初期の名作。その後、ヤノベはタンクからスーツへ移行するのだが(つまり内と外が反転する)、…

ペナント・ジャパン

京都在中(当時)のアート・ディレクター、谷本研が、昭和30年代〜40年代に爆発的に流行した観光ペナントの盛衰を精密に調査しカタログ化したもの。現在40代の人ならば必ず子供部屋の薄い壁を占拠していた観光ペナントだが昭和50年代になると急速に消失して…

トらやんの大冒険

現代美術作家、ヤノベケンジの絵本。物語性の強いヤノベのキャラクターがついに独立した物語をつむぎ出した。 絵本のトらやんは、実物よりかわいい。 ヤノベ作風は、続きもの、なので、はまるまでには時間がかかる。だが、はまれば虜になる。 オールマイティ…