からだのメソッド

 江戸時代以前の日本人と、現代人の体の使い方がかなり変わってきており、大きく劣化していることは近年主張されていることだが、この本は、主にかつての日本人がまとっていた、下駄や着物、箸などの日常道具と、立ち方、歩き方、座り方、食べ方など日常動作との関係を詳細に分析しながら、今日の日常動作の問題点を浮き彫りにしている。
 日常的にまとう物や環境が劇的に変わっているにもかかわらず、その動き方は過去の動作を継承しているところもあり、その相性の悪さが現代人のふるまいを不恰好にし、心身ともに貧弱にさせている例も多い。
 立ち方、歩き方、座り方、食べ方などは、あまりに日常的なため、きちんと教えられることはないが、ここまでドラスティックに変化した環境の中で、身体が悲鳴を上げている現代の日本人にとってもっとも必要なのは日常動作の再点検だということを改めて考えることができる良書である。
 

からだのメソッド-立居振舞いの技術

からだのメソッド-立居振舞いの技術