シコふんじゃおう

 近年、腸腰筋などのインナーマッスル(深層筋)や体幹などの強化がアスリートの中で重視されているが、日本の元祖、インナーマッスル体幹強化と言えば、四股や股割、鉄砲、摺り足などの相撲のトレーニングと言えるだろう。
 インナーマッスル体幹などで重要なのは、体の重心を支える、腸腰筋や脊柱起立筋などの体幹筋肉群を鍛えることであり、そのためには、部分的な筋肉を鍛える従来のウエイト・トレーニングより、自分の体重、バランスを使ったトレーニングの方が圧倒的に向いている。
 相撲のトレーニングは、千代の富士以来、ウェイト・トレーニングも併用されるようになったが、基本的には、自重トレーニングを洗練させたものだと言える。
 本書は、国立大学出身初で昭和の最高齢力士だった元一ノ矢関が、相撲のトレーニングのノウハウと、その力の秘密について解説した書である。
 古武術を含めて、ようやく、日本の伝統武術に科学的な研究が追いついてきたと言え、相撲のトレーニングの合理性がよく把握できる。
 また、背中の筋肉が弱く、猫背になりがちな日本人にとって、非常に向いているトレーニングだと言える。伝統文化の解読は始まったばかりだが、このような流れが進むのは歓迎すべきことである。
 ちなみに、白鵬の63連勝のドキュメントをやっており、白鵬の強さは、下半身を動かさず
上半身をうまくたわませ相手の力をそぐことが原因だとされていた。しかし、彼が尊敬して研究している双葉山白鵬とは逆に、上半身は動かず下半身をこまめに動かしていたという。
 その違いは何なのか?今後の研究に期待したい。

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